2019年5月20日月曜日

チーチャの祭り 世界でも珍しい女性だけの成人式


クナ族の成人式は「チーチャの祭り」と呼ばれます。
少女の成人を祝う祭りが開催されるのです。

「チーチャ」とは、クナ族が造る酒のことです。NHK取材班「世界手芸紀行3」の中に、「男の子だけの成人式は世界各地にあるということですが、「チーチャの祭り」のような女の子の成人式は世界でも珍しいものだといいます。」と述べています。

これは、女性を大切にするというクナ族の習俗の表れであり、母系社会を象徴している祭りでもあるのではないでしょうか。

NHK取材班は、著書の中で、クナ族のヤリッチャちゃんを取材をしています。
日本では、成人式は20歳ですが、ヤリッチャちゃんは13歳です。日本でいうと中学生です。この年齢、つまりクナ族の成人は10代前半ということになるのでしょうか。

著書の中で、サン・ブラス諸島の一つである、ウストゥプ島の有力者の一人、ヘスス・カントーレ氏の興味深い話が紹介されています。

クナ族の女性は、その一生につの大きな通過儀礼があるとされています。

まず、①誕生したときに、鼻に金の輪を通すための穴を開ける儀式を行います。

その後、②「チーチャの祭り」という成人式を迎え、

③髪切りの儀式を経て、少女は大人の女へと成長していくのです。
長い髪をした少女たちは、成人式を迎えるときに、ばっさり短く切ってしまいます。髪を切る行為自体が、大人への第一歩であると考えられているからです。

成人したクナ族の女性は、やがて結婚をし、④結婚式を行います。

最後は死を迎えたときに⑤特別な儀式を行います。

どの儀式も「シャーマン」という祈祷師の手によって盛大に行われるとされています。

これに対し、「クナ族の男性は、一生のうちに何の儀式もなく、ただ、亡くなったときに天国へ無事に着けるよう、祈祷師が祈るだけである。」といいます。

女性の通過儀礼には力を入れるということに対し、男性の通過儀礼は何も行わないという習俗は、非常に珍しいことではないでしょうか。

婿入りだけではなく、女性の服装・儀礼の華やかさが男性よりも勝っていることからも、クナ族は女性社会であることがうかがえます。

クナ女性の成人式での風習は、かなり興味深い習わしや言い伝えがありますが、それは次回にしたいと思います。

  You Tubeで興味深い画像を見つけました。
  クナ族の女性だけの儀式です。
バックに流れているクナ語の歌も珍しいです。

途中、ココナッツの器に茶褐色の飲み物を飲んでいる場面があります。
これがチーチャというお酒です。
ひょっとしたら、「チーチャの祭り」かもしれませんし、違うかもしれません。でも、雰囲気はこんな感じではないでしょうか。


※参照:You Tube 
                   MIS QUERIDAS HERMANAS
                 「EUSTELIO HURTADO」より

2019年5月13日月曜日

クナ族の結婚  興味深い結婚の儀式


サン・ブラス諸島に住むクナ族には、絶対に他民族と結婚してはならないという、純血の掟があります。

クナ族は、純粋民族のまま今日まで血を守ってきた珍しい民族であり、社会秩序のしっかりとした共同体で助け合い、権利、義務とも完全平等の暮らしを営んでいるのです。

また、クナ族は母系制であり、結婚すると、男性が女性の家に入り婿として入ってきます。

そのため、娘の数が多いほど、家族が増え、労働力が増すので、昔から女性は特に大切にされてきており、経済的財産のようにみなされているのです。

NHK世界手芸紀行3」では、「地味な服装の男性たちに比べ、女性たちだけが、金の装飾品やモラで身体を飾り立てていられる理由の1つとして、そうした家族形態の結果なのであろう。」と述べています。

また、家族形態以外に考えられる、女性の社会的な強さとして、

1920年代半ばに行われたパナマ政府や警察による民族同化の弾圧に屈せず、自分たちの生活を保守するために、クナ族の主体性を象徴するモラを着飾り続けてきた女性たちの意志の強さが大きいため。

②かつてはココナッツが主な収入源でしたが、近年では、女性が制作するモラも大事な収入源の1つとなっており、女性が経済の実権を握っているため。

という、2つの理由が考えられます。

 さて、興味深いクナ族の結婚の儀式の様子(といっても、日本の三々九度のような正式な儀式ではなく、友人たちが祝福する結婚の儀式?)をYou Tubeで見つけました。

レポーターが説明をしているのですが、スペイン語なのでよくわかりません。
映像を見てわかったことは、

    友人に担がれた新郎は、頭に水をかけられ、クナ族のベッドになるハンモックに投げ入れられます。そこへ、担がれた新婦も新郎のもとに投げ入れられます。

    同じ行動を3回繰り返すのです。(まるでクナ族版「三々九度」のよう)


なにより島民みんなで二人を祝福している様子が感じられ、皆とても幸せな笑顔がいっぱいです。とても興味深いです。

参照:YouTube 
Casamiento de cultura Guna, desde la Comunidad de Tupile. 
「EL Cayuco PTY」より